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Rabbit that's Kidding

ロサンゼルスの人気アートトイショップMunkyKingで3月26日~4月12日に「DIY PUSHERS SHOW」が開催されます。このPUSHERSはThomas Hansがデザインしたカスタムベーストイです。


このアートショーからオファがあり、私もカスタムモデルを1つ出品することになりました。

PUSHERSのオリジナルはこのような形をしています。


これを今回はフルモディファイでこのようなデザインを考えました。

オリジナルを見ているとどうも大きな口を開けているようにしか見えなくなってしまいました。
オリジナルのパーツをすべて分解して並べてみるとこのような部品で構成されていることがわかります。左側のお面のようなパーツはこのPUSHERSの特徴で、顔のデザインを付け替えれるのが大きな特徴のアートトイです。


通常、このようなアートトイはPVC(ソフビ)を素材としていることが多く、簡単に言うとビニールなので、パテなどのほかの素材をマッチさせるのはとても困難です。
そこで、今回はまずオリジナルをレジンに置き換える作業からスタートすることにしました。

まずはオペの準備。切り取り線を描きます。

カッターと電動のこぎりで一気にカット。
魚の3枚卸のようになりました。

頭部は2つに切断しましたが、体は形状を考え4分割することにしました。

切ったパーツはシリコンの中に沈めます。
おおよそ12時間ほど(一晩)で型用のシリコンが完成です。

今回はこのシリコン型から1回しかレジン複製をしないので、シリコン型も分割して作らずに一気に1つの塊としてつくりました。

シリコン型の中からオリジナルのパーツを抜き出して、水を注いでみて内容量を測量します。
PVCは中空なので意外に内容量は少ないですね。

1回しか使わないというのは気持ち的にも楽です。
多少レジンが漏れても気にしない、気にしない。

これが抜き出したレジンの複製品です。
エアが入っても多少ズレがあってもモディファイには何の影響もないのでこのぐらいの精度でOKです。

これでPVCのやわらかな質感からレジンのかっちりとした質感に置き換えることができます。

それでは複製品の組み立てです。
と言っても簡単です。瞬間接着剤でおおまかに形を作って、あとはポリパテで穴を埋めてゆきます。このときに少し瞬間接着剤をポリパテに混ぜて使うとレジンとのくっつきがよく作業がはかどります。

この段階で片足を切断してスチロールボード+パテ盛りで足を長くしました。
また口は大きく開けるために切り取って口内をスチロールボードで整形。

腕のパーツはオリジナルの形状は私のデザインにマッチしないのでフルスクラッチすることにしました。コアにはプラスチックの棒を使い、ポリパテで少しずつ成形します。

ポリパテは流動性の高いパテですが、硬化が始まると粒状になります。なのでこのようなヒトデのようなトゲトゲが見えます。

400番ぐらいのサンドペーパーで表面を整え、ボディはこのような形状になりました。
あとは耳のパーツや舌、歯などの小物パーツをスチロールボードでつくります。

同時に台座も作りました。コアにはコンクリートを入れ重さを調節しています。表面はレジンで固め、ドリルの先に台座を固定して一気に表面を整えました。

おおよそ形ができあがり、表面のサンディングも一度終えたので、細かな凹凸を見つけるために1度プライマーを吹きつけます。凹凸を見つけたらまたサンディング…。この繰り返しです。

写真を見ると逆戻りしているように見えますが、一度プライマーを吹いて、凹凸を見つけてサンディングして、口の中にもう少しパテを盛ったところです。

口の中のパテを整えて、2度目のプライマー。2回目なんでセカンダリーかな?

グレーのプライマーは凹凸を見やすいので便利なんですが、うすい色を塗布する際には透けてしまいます。

そこでこのグレーのプライマーの上に白のプライマーを吹きつけます。
白い塗料を吹き付けるとやっとオリジナルベースのような雰囲気が出てきますね。

今回はアメリカから帰国後にすぐに作業を始めて、アートショーに間に合わせるためにかなり急いで作業を進めました。なので今回の制作日数はおおよそ1週間。もしかしてこのサイズの立体制作の自己記録を更新したかも・・・。

やっと形が整ったので塗装に入ります。
私がいつも使っている塗料はアクリル系のTAMIYAカラーです。
色数が豊富なのと安価で割合シックな色外が多いのでプラモデルっ子の時代からのお気に入りです。

部分に分けてマスキングをしてエアブラシで徐々に色づけをします。一度に色を付けようとするとムラや塗料が垂れてきたりするので、3度ぐらいで塗装します。
この作業の後にはデカール(水貼りステッカー)を貼った後にクリアーラッカーを同じく3度ほど吹き付けて完成です!!

そしてこちらが完成した「Rabbit that's Kidding」です。
今回はテカテカ仕様です。
なんどかアメリカ向けの立体制作をしていますが、どうやらアメリカ人はテカテカが好きなようなので思いっきり陶器のような輝きにしてみました!!
ははは。


私はこの角度が一番好きです!!


顔のアップ。目は手描きです。その方が陶器っぽいかなぁ・・・と思って・・・。


台座にはスタジオのロゴを貼りました。


お尻はこんな感じ。キュートですよ。


そして全体的にはこんな感じです。

彼は既にロサンゼルス入りしていてあとはショーの開催を待っています。
私も現地入りしたかったのですがスケジュールの都合で行くことができませんでした。
26日から始まるショーの様子はMunkyKingからレポートされると思いますので、写真が届いたらお知らせしますね。



 

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