2026年5月19日火曜日

LSK8 Design Vol.5 / Pt.1

今回は、Sector9のベンドタイプボードをベースに製作を進めていきます。

一見すると、Vol.3で扱ったベースとほとんど同じように見えるモデルです。シルエットや全体の雰囲気も酷似しており、「あれ、同じ板では?」と思うレベルなのですが、よく見るとグラフィックが異なります。


……がしかし、この個体、実際にはなかなかのダメージを抱えています。

特にテール部分はかなり深刻で、縁がバキバキに削れ落ち、オリジナルの輪郭が大きく損なわれている状態です。単なる使用傷の範囲を超えており、長年のハードユースを物語るコンディションと言えそうです。


とはいえ、パーツ単位で見ると意外な発見もありました。ベアリングは現状でも十分に回り、実用に耐えるレベルを維持しています。まだ分解チェックはしていませんが、おそらくABEC9クラスのものが入っている印象です。ここはうまく活かしていきたいところです。

ウィールについてもそれなりに摩耗は進んでいますが、先日軽く試乗した限りでは硬化はまだ感じられず、グリップも確保されています。この状態であれば、できるだけオリジナルパーツを残す方向で進めたいと考えています。経年変化も含めて、この個体のキャラクターとして活かせそうです。


トラックは白錆が出ているものの、まだ十分再生可能な状態です。しっかり磨きをかけた上でコーティングを施せば、見た目も機能もかなり回復するはずです。一方でネジ類は完全にアウト。全体的に赤錆が広がっており、頭もプラスネジなので、このタイミングで六角タイプに交換します。個人的な扱いやすさも含め、ここは確実にアップグレードしていきます。ブッシュもかなりヘタっているため、こちらも新品交換が前提になりそうです。


今回はとにかく「今乗れるベンドボード」を確保したいという目的があるため、まずは致命的なダメージ箇所の応急処置から着手します。ノーズとテールの割れを止めるため、いつものようにエポキシ樹脂を流し込み、欠損した部分の形状を再構築していきます。


硬化後はミニグラインダーで大胆に削り出し、アウトラインを整形。その後サンドペーパーで細かく仕上げ、手触りと見た目を整えていきます。本来であればこの工程の前にグラフィックのピーリング処理を行うのですが、今回はあくまで応急的なリカバリーが目的なので、最低限の修復にとどめています。


現在進行中のVol.4の作業はしばらく止まっていますが、こちらもそろそろ終盤に持っていきたいところです。並行して進めつつ、それぞれ違った方向性の仕上がりになるよう調整していこうと思います。

2026年4月10日金曜日

LSK8 Design Vol.4 / Pt.1

 前回までの Vol.3 とは別に、今回から新たなLSK8デザインに入ります。


■ 今回使用するのは、古い KillerLoop のベンドボード
今回は、古い KillerLoop のベンドボードを入手しました。
グラスファイバーでコーティングされた板で、前回モディファイした Sector9 のベンドボードよりも、やや重量があります。


■ まずは全体の状態をチェック
例によって、テールエンドはそれなりに消耗しています。
ただ、この程度であれば前回同様、エポキシ樹脂でのリペアが可能そうです。


一方で、トラックはかなり腐食が進んでおり、白錆が目立つ状態。
ベアリングの回りもあまり良いとは言えず、このあたりは新品への交換も視野に入れる必要がありそうです。


■ いつものように、オリジナルグラフィックの剥離からスタート
まずはサンダーを使い、オリジナルグラフィックの剥離作業を行います。
それほど苦労せずに除去できましたが、グラスファイバーの繊維の間に入り込んだ塗料は、すべてを取り切ることはできませんでした。

この板は表面レイヤーがかなり薄く、サンダーで削るとすぐにガラス繊維の層に達します。
うっかり表面を撫でてしまうと、目に見えないガラス繊維が肌に刺さり、しばらくチクチクするので注意が必要です。
施工時はニトリルグローブ必須ですね。


■ 削り作業のついでに、テールエンドをリペア
ここでテールエンドの補修作業。
いつものようにエポキシ樹脂を盛り、硬化後にサンダーで削りながら形を整えました。


■ 剥離後のガラス繊維を抑えるため、下処理を兼ねた塗布工程
剥離作業が完了した段階で、
少し立ち気味になったガラス繊維を抑え込む目的で、
本来は仕上げに使用するウレタンニスにカラーニスを混ぜたものを、一度全体に塗布しました。


■ 乾燥を待って、グラフィックのラフデザインへ
十分に乾燥させたら、グラフィック制作に入ります。
いくつかラフを描きましたが、今回は冬のスノーボーディングをイメージしたグラフィックに決定しました。





■ ラフを投影し、ボード上にトレース
ラフを iPad に取り込み、プロジェクターでLSK8の板に投影。
投影した線を鉛筆でトレースしていきます。


■ 細筆を使って、線画の描画工程に入る
トレースが終わったら、ペンキで線を描きます。
かなり細い面相筆を使い、時間をかけて慎重に作業します。



今回はここまで。
この先、どのように仕上がっていくのか、自分でも楽しみです。

2026年2月17日火曜日

LSK8 Design Vol.3 / Pt.5

前回の Pt.4 では、アクリルガッシュでベースグラフィックを描きました。

今回はいよいよメイングラフィックの工程に入ります。

画材は同じくアクリルガッシュ。
……なのですが、ここで痛恨のミス。
描くことに夢中になりすぎて、作業途中の写真をすっかり撮り忘れました。


■ レジン&ウレタンの相性チェック

本題に入る前に、ちょっとした実験を挟みます。
今回のボードは FRPサンドイッチ構造。つまり表面はレジン層。

前回使ったウレタンニスは木材とは相性が良いのですが、レジン相手だとどうしても不安が残ります。
そこで、プラダンにガッシュを塗り、その上から ウレタンニス2液透明レジン を試し塗りしてみました。

結果として、レジンは強度・密着ともに優秀。
しかし、どうしてもレジン特有の表面の凹凸が目立ってしまいます。
そこで今回は、薄く数層のレジンを塗布 → サンディングで平滑化 → 最終的にウレタン仕上げという方法を採用。

使ったのは SANAAA の2液透明エポキシ。安価で透明度が高く、扱いやすいのが魅力です。


■ グラフィックに“経年の味”を加える

描いたばかりのグラフィックは、どうしても新しすぎてボード本体との“年式差”が気になります。
そこで、ジーンズのダメージ加工よろしく、サンドペーパーでわざと擦れを与えて馴染ませます。

続いて、2液透明レジンを薄く塗布。
ただ、やはり凹凸は出るので、レジン→研磨→レジン→研磨…を何度か繰り返し、層がある程度厚くなったら全体を平滑に整えます。

(今思えば、ガラスシートを貼ってFRPにしちゃうのもアリだったかもしれません。ただし重くなるのは嫌なんですよね…)

仕上げにウレタン塗装を3回ほど重ね、24時間乾燥後に #1200 で艶消し。
ほんのひと手間ですが、このマット感で一気に“自然な経年感”が出ます。


■ デッキテープ貼り&パーツ再生

ここからは仕上げ工程です。

まずはデッキテープ。
今回はあえて ブラック無地 に。
オリジナルは Sector9 ロゴ入りですが、ちょうど足が乗る位置なので潔く黒に統一しました。
前回の透明テープよりも貼りやすく、水張りで気泡もゼロ。

続いて、トラックとウィールの清掃。
今回はオリジナルを再利用するため、しっかり磨きこみます。
トラックは歯磨き粉でポリッシュし、白錆はワイヤーブラシで除去。
ウィールは外側のグラフィックを残したいので、ウレタン塗装でコーティング。

すべてのパーツを組み上げて——
ついに完成!



■ 今回のレストアでの気づき

初めてのベンドボードのレストアでしたが、学びが多い回でした。
ガラスシートでFRP化する案も頭をよぎったものの、重量や厚みのことを考えると悩ましいところ。
ラッカー塗装も魅力ですが、あの刺激臭が難点。
現状の制作環境では、水性塗料をどう工夫するかが課題になりそうです。


そして…すでに次の板が到着済み。
次は KillerLoop のベンドボード をレストアします。
どうぞお楽しみに!

2025年12月23日火曜日

LSK8 Design Vol.3 / Pt.4 ―夏色グラフィックが走り出す瞬間―

 前回のPt.3では、デッキに空いていた“謎の穴”をエポキシ樹脂でしっかり埋め、さらに両面をサンダーで滑らかになるまで整えました。


そしていよいよ今回から、デザイン工程の本番へ突入します。

実は今回、キャラクターを使わずテキスタイルのような“ファブリックパターン案”も候補にありました。しかしデッキを前にして「縦方向の空間をもっと大胆に活かしたい」という感覚が強まり、最終的に直線的なバックグラウンド × バーチカル構成のキャラクターデザインという、よりダイナミックな方向を選択しました。

まずはAdobe Illustratorでフラットデザインを構築し、原寸大プリントで実物とのバランスを確認します。画面上では整って見えても、実際のデッキに重ねると“間の取り方”や“密度感”が意外と変わるので、この工程は視覚的な最終確認として欠かせません。

続いて、背景とキャラクターの型紙をそれぞれプリントアウトし、まずはバックグラウンドの直線パターンをデッキへトレースダウン。
描画にはアクリルガッシュを使い、ドライブラシ(擦れ表現)で質感を与えました。

背景が入った段階でも、どこか夏の空気をまとったような軽やかさが加わり、デッキの印象が大きく変わりました。キャラクターが入ったときにどう見えるのか、個人的にも仕上がりが楽しみです。

■アクリル絵の具とアクリルガッシュのちがい

ここで使っているアクリルガッシュについて、少しだけ補足しておきます。
同じ“アクリル”という名前がついていても、実はアクリル絵の具とアクリルガッシュでは性質がかなり異なります

  • アクリル絵の具
    顔料の含有率が低く、透明水彩のように下の色を透かす性質があります。乾燥するとアクリル成分だけが残り、ボンドが固まったときのようなしなやかな塗膜になるため、剥がれにくいのが特徴です。

  • アクリルガッシュ
    顔料が多く、不透明水彩や顔彩のように“隠蔽力が強い”タイプ。発色が良く、平面デザインをするときに頼りになる質感です。ただし、顔料の割合が高いぶん乾燥後の結びつきが弱く、極度な乾燥ではひび割れが起きることもあります。

どちらにも匂いがほとんどないというメリットはあるものの、FRP(繊維強化プラスチック)と相性が良いとはいえず、強度の面では弱さが残るのも事実です。

スケートボードの表面は、ライディングのひねりやテンションが常に加わるため、一般的にはアクリルガッシュはあまり向いていません。それでも今回あえてアクリルガッシュを使用しているのは、
「アクリルガッシュでも安定した塗膜を作る方法」を今後紹介したいと思っているためで、今回はその前段階の“背景描き”で作業を区切っています。

次回はいよいよ、メインとなるキャラクターパートをアクリルガッシュで描いていきます。背景との重なりがどんな雰囲気を生むのか、引き続きご覧いただけると嬉しいです。

2025年12月12日金曜日

LSK8 Design Vol.3 / Pt.3:前回の修復で満足できなかった…? ついにフルレストア計画始動!

 前回のPt2では、エポキシ樹脂で穴を埋め、C砂でデッキテープの破損部分を修復しました。



一見きれいに仕上がったように見えますが、毎日眺めていると、どうしても修復した箇所が気になるんです…。


「やっぱりフルレストアしよう!」
そう決意した瞬間から、作業は一気に本格化。まずはすべてのパーツを分解し、板だけの状態に戻します。
せっかく直したデッキテープも、ほんのわずかな凹凸が気になるので、ここは思い切って張り替え決定。

さらに、板の欠けや微妙な段差もエポキシ樹脂でしっかり補修。



今回はここまでですが、次のステップはグラフィックの再生
「どんなデザインにしよう?」と考えながらドローイングする時間は、まさに至福のひととき。
次回は、描き込みの様子や仕上がりをたっぷりお見せしますのでお楽しみに!

LSK8 Design Vol.3 / Pt.2:気になる“謎の穴”を徹底リペア!

 前回のPt.1では「仕上げにカッティングシートでグラフィックを入れて…」と考えていたのですが、完成した板を毎日眺めているうちに、どうしても視線が止まる場所がありました。

それは――小さな穴。いや、正確には“何かを取り付けていた痕跡”のような穴です。おそらく、以前のオーナーがデッキフックを付けていたのでしょう。

この穴がどうにも気になる!せっかくリメイクするなら、ここもきれいに整えたい。ということで、急遽リペア作業に突入しました。

まずはエポキシ樹脂を使って穴をしっかり埋め、さらにすり減ってしまったテール部分を“モリモリ”に盛り付けて補強。ここで形状をしっかり整えるのがポイントです。


硬化後はサンダーで丁寧に研磨。凹凸がなくなるまで平滑に仕上げることで、見た目も手触りも新品同様に近づけます。削る音と手に伝わる振動が、なんとも心地よい瞬間。


最後に、デッキテープの穴をC砂とボンドで補修。これで目立たなくなり、全体のバランスも整いました。


こうして、オリジナルの形状にかなり近づいた板が完成!
「ただ直す」だけじゃなく、愛着を深める作業になったのが今回の面白いところ。次回は、いよいよグラフィックの仕上げに入ります。お楽しみに!

LSK8 Design Vol.2 / Pt.5:ハンドペイントで仕上げる、こだわりのロングスケートボード

まずはここから

ついにこの瞬間がやってきました!板そのものの施工を終え、いよいよグラフィックを描く段階です。Vol.1では水性プリンタインクを使いましたが、今回はアクリル絵の具で本格的に挑戦します。なぜアクリルなのか?それは、より鮮やかで耐久性のある仕上がりを目指したかったからです。


バックグラフィックの制作


まずはバックの曲線グラフィックから。通常ならマスキング+エアブラシやシルク印刷で仕上げるところですが、今回は全てハンドペイント。理由はシンプル――このボードを「作品」として仕上げたいからです。

アクリル絵具やアクリルガッシュを使う際、私がよく使うのはドライブラシ技法。今回もそのテクニックを活かし、質感にこだわりました。


キャラクター作画と文字入れ


バックが完成したら、次はキャラクター。テーマは「ロングスケートボードを持った女性」。透過させたくない部分にはアクリルガッシュを併用し、しっかりと発色させます。


裏面の仕上げは白文字のロゴ。ここもアクリルガッシュでクッキリと。


表面のロゴデザイン


表面はサーフブランド風のロゴデザインに挑戦。着彩前にバーニングペンで墨入れし、アクリル絵具を少し薄めて塗布。木目を活かしながら、爽やかな雰囲気を演出しました。


ニス塗布で仕上げる光沢感

※床用ニスはコレを使用しましたが、その隣にある小瓶はVol.1で使用した水性プリンタインクで、今回は使用していません。

両面のグラフィックが完成したら、いよいよニス塗布。今回は床用ニスでテカテカ仕上げに。乾きが速く透明度が高いのが魅力ですが、一度に厚塗りできないので、スポンジ刷毛で根気よく積層します。


裏面は8層、表面は6層。光沢が出てくるのは4層目あたりから。仕上がりを見ていると、達成感がじわじわ湧いてきます。


デッキテープと細部のこだわり



24時間以上乾燥させたら、仕上げのデッキテープ貼り。今回は半透明タイプを選びましたが、これが難しい!そのまま貼るとエアが入るので、霧吹き+ローラーで丁寧に仕上げます。


さらに、ロゴと中央ラインはテープを貼らず木目を楽しめるデザインに。ウィールとブッシュはトランスルーセント・グリーンで統一し、ブロックはフロントをグリーン、リアをネイビーに。細部までこだわり抜きました。



完成!そして次の挑戦へ

南国のロコブランドをイメージしたハンドメイド感、しっかり出せたと思います。これで2本目が完成!次はSector9のアーチベンドボードのモデファイに挑戦します。今回はFRP層があるので、仕上げはエポキシレジン。どんな質感になるのか、今から楽しみです。



LSK8 Design Vol.5 / Pt.1

今回は、Sector9のベンドタイプボードをベースに製作を進めていきます。 一見すると、Vol.3で扱ったベースとほとんど同じように見えるモデルです。シルエットや全体の雰囲気も酷似しており、「あれ、同じ板では?」と思うレベルなのですが、よく見るとグラフィックが異なります。 ……が...